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はじめに書いておきますが今現在はできない過去の話です。
今では消費者金融のカードローンも上限金利がしっかりと決められ、総量規制もできたことで、一昔前のようなあり得ないほどの借金を抱えることも少なくなりました。
借りたくても消費者金融やクレジットカードのキャッシングからは年収の3分の1までしか借りられず、それでも借りすぎには気を付ける必要がありますが、返済も何とかできるというラインで踏み止まれるものです。
それが一昔前、総量規制ができる前はそうも言っていられないものでした。
借りたいと思えばどんどん貸し付けてくるもので、金利も今と比べると遥かに高く、上限で29.2%の実質年率を取るところも多くありました。
たくさん借りてそれでいて金利も高いとなれば返済にも苦しんでしまうもので、そんな苦しい状況の中で編み出されたのが、シンキのノーローンを使った大車輪と呼ばれた利息の大幅な削減方法です。
大車輪とは当然ながらサービス名ではなく、インターネット上で呼ばれていたものに過ぎません。
内容としては完済をすれば次回の借り入れが再度一週間無利息になるシンキのノーローンを使い、ノーローンで借りて他社に返して、一週間後に他社で再度借りてノーローンに返してを繰り返すものです。
無利息サービス自体は今でもプロミスやアコム、アイフルなどでも行っていますが、当時のノーローンとの違いは初回の借り入れに限定がされている点です。
当時のノーローンは完済をすれば何度でも一週間が無利息になったことで、一週間借りて完済をしてまた借りてを繰り返すことで、利息の大幅な削減ができたのです。
シンキのノーローンだけで借りているなら何が大車輪なのという話ですが、当時は上でも触れているようにとにかく過剰な貸し付けや借り入れが蔓延っていた時代です。
消費者金融の利用者は何社も借りているもので、その借金をシンキのノーローンの無利息を使って回すことで、いつからか大車輪というように呼ばれたものと思われます。
大車輪を使った利息の軽減効果は凄まじく、手数料などを考慮しない場合に減らせる利息は、理論上で8分の1です。
仮に年率28.0%で借りているところを大車輪で回すとすると、年率は3.5%まで抑えられる計算になります。
年率3.5%で借りるなど、今の時代でも難しい話です。
大車輪の基本は他社で借りているものをシンキのノーローンで借りたお金で完済をし、ノーローンで借りた分は一週間後に返すというものです。
例えば、A社で30万円を借りているとした場合は、
といった流れです。
ノーローンでは完済後の借り入れは一週間は無利息となるので、この1サイクルで利息が発生するのは主に2と3の間のA社の1日分となります。
借り入れや返済のタイミングによっては他のところでも利息がかかることがあるため、理論上では8分の1の利息とはなりますが、実際にはもう少しかかることが多かったと言えます。
頻繁に借り入れと返済を繰り返さなければならないのでとにかく手間はかかりますが、その手間をかけるだけの効果があったのが大車輪です。
ちなみに、この例では変わりやすくするためにA社とノーローンだけの借り入れにしていますが、3社の借り入れでも回すことはできました。
シンキのノーローンを使った大車輪は、利息の削減効果はあっても借金を減らすことにはなりません。
あくまでかかる利息を抑えて現状を維持するだけであるため、大車輪で当時の異常なまでに高い利息を抑えつつ、少しずつ返済を進めていくのが理想形です。
上の流れに付け加えるとするなら、
4の自己資金の追加は、給料日や臨時収入があったタイミングなどになります。
お金があるときに返さないといつまでも大車輪を続けてしまうので、少しでも自己資金を足して返済をすることで、大車輪で凌いだ借金も少しずつ減らせるようになります。
これは何も5万円でなければいけないわけではなく、1万円でも2万円でも何でも良いのです。
多めに返済をしておけば完済が早まり、結果としてかかる利息が抑えられるというのは、今のカードローンやキャッシングでも変わりはありません。
大車輪は理論上は無敵のように思える利息の軽減方法です。
しっかりと守って回していれば確実に利息が減らせるので「神」などと言われていましたが、自らで大車輪を破綻させてしまう方が多かったのも事実です。
はじめのうちはしっかりと大車輪で回していても、慣れてくると「少しだけなら…」と思ってしまい、借りた分を全て返済に回さず他のことに使ってしまうのです。
上の例であれば30万円を借りて返済をしなければならないのに、25万円だけ返済をして5万円を使ってしまいます。
5万円ぐらいならすぐ戻せるだろうと思っての行動ですが、そもそも本当に5万円がすぐに戻せるならそんなになるまで借金は膨らんでいないのです。
一度でもこういったルール違反をしてしまうと、借金で借金を回している大車輪は途端に破滅をするのは言うまでもありません。
大車輪がなくなれば利息の効果的な軽減方法も使えなくなるので、あとは苦しい返済を続けていくか、返済ができなくなって債務整理をするかといった末路しか残されていません。
借金に慣れてしまうとこういう行動は普通に取ってしまいます。
借りたことのない人間からすると考えれないことかもしれませんが、カードローンやキャッシングを使い続けて感覚がズレてきてしまうと、平気でこういうことをします。
怖いものです。
ルールを守ってしっかりと回しているなら、シンキのノーローンの大車輪は利用者にとってはまさに神と言える使い方でした。
しかし、ここで大きな問題が生じていることに気付くはずです。
一週間無利息で貸し付けているシンキ側は、大車輪が回らなくなって焦げ付く非常に大きなリスクを抱えている割に、得られる利息のリターンが少なすぎます。
それでも当時はとにかく貸し付けを増やせという時代だったのでまだ良かったのかもしれませんが、問題であるのは変わりはありません。
そんなこともあってか、ノーローンのサービス内容の変更により、大車輪という使い方は封印がされることになりました。
現在のサービス内容は何度でも一週間無利息に違いはありませんが、適用がされるのは完済日の翌月以降という大幅な下方修正です。
以前のようにすぐ借りて再度一週間無利息とはならなくなってしまったため、大車輪という言葉も、今ではほとんど目にすることはなくなりました。
そもそも、新生銀行グループとなったノーローンは、現在では新規申し込みを停止しています。
新生銀行グループではレイクALSAであったり、新生銀行自体のスマートカードローンプラスであったりと色々なサービスを提供しているので、ノーローンがなくても消費者向けのサービスは色々あります。
今の時代、無利息サービスを行っていても当時のシンキのノーローンのように、すぐに何度でも無利息が適用されるということはありません。
大体は初回契約の初回借り入れに限られてしまうので、借金を抱えてしまって利息がきついと感じても、何とか頑張って返していくしかないのです。
当時は今とは何もかもが違い、大車輪のようなやり方が通用しただけです。
大車輪が使えない今の時代はひどいと感じるかもしれませんが、正直、当時の消費者金融業界のひどさは今の比ではありません。
少しでも返済に遅れようものなら厳しくしつこい取り立てなどは日常茶飯事で、しかも利息が恐ろしく高いのでどうにもならなくなります。
それに比べれば今の消費者金融のカードローンはいくらかマシになっていると言えるので、返済には困らないように計画的に使っていくようにしたいものです。